こんにちは、美容師をしているRyoです。
とつぜんですが普段仕事をしている時、お客様とのやりとりの中で
「ココがこうなっている髪型にしたいんです」
「それって〇〇(スタイルの名前)の事ですか?」
「〇〇ってどんな髪型ですか?名前がわからなくて・・・」
「(スマホで写真を探して)こんな感じのデザインですよ」
ということが結構あります。
最近はヘアアレンジがより身近になり、どんどんセルフでのアレンジ方法も増えてきていますが、正確な名称についてはプロでないかぎり知らない方も多いと思います。
そこで今回は、一般の方が意外と知らないヘアセット業界でのスタイルやデザインの名称を紹介していきます。
これを知っているか知らないかで、スタイルを伝えるときの意思疎通がとってもしやすくなりますよ。
- 「イメージはあるのに近い写真がない」
- 「なんて伝えればいいかわからない」
なんて際にも役立ちます。
なお、美容師によって言い方が変わるスタイルも存在します。
例えば働いているエリアでも多少違いますし、美容師の年齢によっても同じ言葉の意味のとらえ方が変わってきたりします。
ですから、絶対にこの言い方が正しい!というものではありませんが、参考にしていただけたらと思います。
※このページでは僕が自ら製作した髪型を例に解説しています。画像がない部分は随時更新していきます。
スタイルの種類と組み合わせ
一般的なヘアデザインでは、
- アップスタイル(髪を全て上げたスタイル)
- ハーフアップ
- ポニーテール
などにプラスして、編み込み・引き出し・スジ等を入れてデザインしていくスタイルがほとんどです。
作り方・ボリュームを出す位置・シルエットの違いで、同じアップスタイルでも“お団子スタイル”や“カールアップ”などと言い方が変わってくるものもあります。
創作系スタイルだとまた違うのでそこは割愛します。
軽く余談ですが、ヘアデザインを決める上で公式みたいなものが存在します。
希望のスタイルというのは、
おおまかなスタイル(アップ、ハーフアップ、ダウンなど)
+
ベース
+
装飾
の組み合わせでだいたい決めることができるんです。(例外ももちろんありますが。)
ベースというのはスタイル全体の雰囲気を決める部分で、髪をまとめる前に行う工程の事です。
例えばカーラーを巻いたり、コテで巻いたり、ウェーブをかけたりする事を指します。
装飾というのは、ベースに編み込みやスジなどを+αして付け加える飾りのようなデザインです。
これから説明していくスタイルやデザインをこれに当てはめていく事でスタイルが完成していきます。
アップ系スタイル
アップスタイルは、髪を全て上げたスタイルの総称です。
一概にアップといっても種類はかなり細かく分類されています。
ざっくりと分けて上、中、下のアップ(ボリュームの位置)と、カール系かまとめる系かである程度分類できます。
<夜会巻き>
まとめる系スタイルの代表とも言える髪型ですね。
最近では和装のときにオーダーする方が多いですが、実は洋服にもとても似合うスタイルです。
海外セレブのドレスアップの写真をみても、夜会巻きアレンジの方がちらほらいらっしゃいますよ。
次に紹介する被せのアップと似たスタイルですが、厳密にいうと夜会巻きは面が1枚で巻き込まれているようになっている事を指す事が多いです。
※写真のスタイルはルーズにアレンジしています。髪の重なりが一枚に見えるように作っているので夜会巻き要素が強いです。
<被せ>
トップにふんわりとボリュームを出しつつ、被せてまとめるスタイルなので「被せ」といいます。
上のデザイン部分の事を指すので、下めスタイルでも被せにする事は出来ます。
上めに作ると夜会と似たまとめ髪スタイルになりますが、余った毛先を遊ばせる事で夜会巻きよりもデザインの幅が広く、細かい注文を受ける事ができます。
被せで作ったスタイルを夜会スタイルと言ってしまっても全然OKです。
※2つの写真のスタイルは全く異なるデザインですが、どちらも被せの技術を使って作ったスタイルです。
上めスタイルの画像は毛先のアレンジが一見すると複雑そうに見えますが、被せで作ったベースの上に毛先を遊ばせて乗せているだけです。
<カールアップ(サイドアップなど)>
カール(巻き)を使ったアップスタイルの総称です。
カールアップと言われると上からカールを出すイメージが強いですが、カールの位置をどこにするかによって呼び方が少し変わってきます。
カールの位置をサイドに寄せたら『サイドアップ』、
上に寄せたら『上めカールアップ』、
下に寄せると『下めカールアップ』といった感じです。
※カール部分の毛束の処理の仕方によってカール感は変わってきますが、写真のようなカールがメインになるスタイルは全てカールアップといいます。
<お団子&シニヨン>
髪のまとめ方の名称です。
お団子とシニヨンは別々の髪型として捉えているかたも多いと思いますが、実は意味的にはお団子とシニヨンは同じです。
ですから、上の2つの画像のスタイルも一見すると全く違うスタイルですが、どちらもシニヨンと言っても間違いではありません。
しかし一般的には、お団子=髪を丸く団子のようにまとめたもの、シニヨン=まとめ髪の総称として使っている方も多く、スタイルのニュアンスによって使い分けられています。
僕の場合は、
お団子=カジュアルなスタイル
シニヨン=よりキレイめにまとめたスタイル
というイメージで使い分けています。
けれどこういったニュアンス部分は人によってかなり違いますので、作ってもらう上で事前に確認しておくことが大切です。
美容室では特に注意した方がいいスタイルですね。
ポニーテール系
髪を一つ結びにして下ろした状態のスタイル。
上、中、下と結ぶ位置でも雰囲気が変わってきます。
普段は「邪魔だから結ぶ」という使い方が多くとてもシンプルなスタイルですが、ヘアセットの際には様々なデザインを加えて、華やかな場にも似合うデザインとして成立させていきます。
<ツインテール>
髪を二つに分けて左右に結んだスタイル。“二つ結び”とも呼ばれています。
幼さや可愛さを感じさせるスタイルで、耳よりもさらに上に結ぶことで元気なイメージも加わります。
さらに、毛束を三つ編みにして下ろしたスタイルは“おさげ”と呼ばれます。
ハーフアップ系
髪の上半分をまとめ、残り半分を下ろしたスタイルなのでハーフアップといいます。
女性らしいスタイルで、普段のアレンジ〜華やかな場まで使える髪型です。
同じハーフアップでも上部分の髪の量を多くする、少なくするなどで雰囲気が変わってきます。
(上部分のアレンジを減らすことでダウンスタイルの要素が強まります。)
ハーフのさらに半分(4分の1)を使ってアレンジしたスタイルは、“クオーターアップ”と呼ばれることも。
<ハーフアップ>
上の説明にも書いた通り、上半分のまとめる分量を変える事で雰囲気が変わってきます。
量を少なくしていくと可愛さ、幼さが残るイメージに。
逆に量を多くしていく事で大人っぽいイメージに仕上がりやすいです。
また下の量を調節する事で、シルエットがAラインのような末広がりではなく縦ラインになるため、そのようなハーフの事を“縦ラインのハーフアップ”と言ったりすることもあります。
<ハーフサイド>
上半分をサイドの位置でアレンジ(ポニーテール)したスタイルを指します。
イメージ的には可愛さや幼さが前面に出る事に加え、髪が下りている事によりお嬢様感もプラスされます。
子供やアニメのキャラクターに多く見かけます。
<ツインハーフ(ツインテール)>
上半分の髪の毛を二つに分けてツインテールのように結んだスタイルです。
上半分を二つ(ツイン)、下は半分残すので“ツインハーフ”となります。
こちらもハーフサイドと同様に可愛さや幼さが出るため、ロリータファッションの方やアニメのキャラクターがよくしていますよね。
編み下ろし
ラプンツェルやアナ雪のエルサのような髪型で、長い髪を編んで下ろしたスタイルです。
最終的に毛先が編まれた状態で下りていれば全て編み下ろしに入ります。
ダウンスタイル
髪を巻いて下ろしたデザインの事を“ダウン”や“巻き下ろし”と呼びます。
内巻き、外巻きなど巻き方を変えることで、雰囲気の異なる巻き髪が作れます。
※写真の画像はアレンジが加わっていますが、全体の雰囲気からダウン要素が強めなので、ここではダウンスタイルと呼びました。
(画像のような全体の4分の1の毛束を使ってアレンジしたものをクオーターアップと呼ぶ場合もあります。)
デザイン(装飾)の名称
上記で紹介したスタイルにプラスすることで、仕上がりをより華やかにしたりデザインを差別化する事ができます。
<スジ>
髪の毛の表面に曲線のようなデザインを入れたスタイル。
元々は水系セットから出てきたデザインなので、キャバ嬢やホステスさんがよくしているデザインです。(最近は少なめ)
ちなみにスジを何層にも重ねていったものが“スジ盛り”というスタイルです。
<スジ(引き出し)>
上のスジと少し似ていますが、こちらは面の状態から毛束を引き出して作るタイプのスジです。
最近はこちらの作り方が主流な気がします。
通常のスジよりも一般層の方に取り入れやすく、ナチュラルで綺麗めな印象に仕上がります。
<ちらし>
結んだ毛先を逆毛で散らしていくカールアップのようなデザインです。
スジ盛りよりもランダムに散らすイメージです。
ボリュームがかなり出て華やかに仕上がるので今でも稀に成人式などで見ますね。
<編み込み(表、裏、ツイスト、その他)>
今も昔も変わらず人気なデザインです。
他にも様々な編み込みがありますが、代表的なものとして表編み、裏編み、ツイスト編み(ねじり編み)の3種類です。
ひと昔前の編み込みデザインはスタイルと編み込みが分離しているものが多かったのですが、最近は全体のデザインに馴染むように入れていくものが多くなってきていますね。
<手ぐし>
あえてセルフでまとめたような『ざっくり感』を出すために、コームやブラシを使わずに手グシでさくっと表面を崩すように作るやり方(見せ方)です。
例えば、「手ぐし感のあるポニーテル」といった使い方をします。
もともと髪にクセがある方のほうが決まりやすいですが、直毛の方はベース作りをした上で使う事でうまくいきやすいです。
これを綺麗にやるとスジ(引き出し)のようなデザインに近くなりますが、整えすぎずにざっくりと作っていくのが味なデザインです。
<くるりんぱ>
セルフで簡単にできるデザインとして一般層にものすごく流行ったので、ほとんどの方が知っていると思います。
綺麗に作るコツを記事にて簡単に説明しているので、興味ある方は覗いてみてくださいね。
ベース
ヘアセットをする前段階で、作りたいデザインや髪質に合わせて作っていきます。複数を組み合わせて使うことも多々あります。
この辺は美容師側が希望スタイルに合わせて決めていくので、「こんな事するんだな〜」くらいに思っていただければ大丈夫です。
ウェーブ系(波ウェーブ&コテウェーブ)
ルーズ系アップの中でもより現代的なベースの作り方です。
元々は波ウェーブの方が主流でしたが、最近はコテを使ったウェーブも多くなっていますね。
(ウェーブ感も細かめから、より大きくクッキリとしたものに変わってきています)
僕のYouTubeチャンネルでもコテウェーブを使ったスタイルを多く載せているので、よろしければご覧ください。
<波ウェーブ>
<コテウェーブ>
コテを使ってウェーブ感を出したベースのことです。
コテを使うので、螺旋状にウェーブがつくのが特徴です。
巻く強さや引き出す量によっても仕上がりが変わってきます。
波ウェーブよりも綺麗めな印象に仕上がり、複雑な立体感が表現できます。
<カーラーベース>
ホットカーラーを全体に巻いて根元の立ち上がりをつけることで、全体的にボリュームアップします。
大きな特徴として、根元は立ち上がりのみでカールは中間〜毛先にかけてしかつきません。(毛先に一番強くカールが出てきます)
基本的なアップスタイルはもちろん、和髪を作る時などに使います。
※応用としてカーラーベースに加えて、コテやストレートを使ってベースを作る場合もあります。
<ストレートベース(ベースなし)>
ストレートの状態を作る、もしくは何もしないでそのまま仕上げていく方法。
スタイルによっては髪を巻かない方がやりやすい場合もあるので、そんな時に使います。
以上、これらが主なスタイルのデザインや種類となります。
おわりに
インターネットで検索するといろんなデザインが出てきますが、一般的なヘアデザインの多くがここで説明したものの組み合わせと応用で成り立ってます。
組み合わせを変えたり使う場所を変えることにより、複雑に見えたり全く新しいデザインに見えたりします。
人それぞれの編み方・巻き方・崩し方のクセによって、同じ事を同じ手順でやっていても全く違うスタイルが出来上がるのでそこも面白いですよね。
ちょっと難しいところもあったと思いますが、あまり難しく考えず「このデザインってこういう風に言うんだ〜」くらいに参考にしていただけたらと思います!
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