こんにちは!Ryoです。
あなたは今まできちんとホットカーラーの巻き方を習った事がありますか?
このホットカーラーという技術は簡単そうで奥が深く、特に銀座では巻き方を見るだけで、
そのスタイリストがどのくらい技量があるのか
を見破られてしまうような恐ろしい技術です。
巻き方を見られるだけで「あいつは下手だな」って思われるのは怖くないですか?
そのくらい基本的な技術なので、銀座のアシスタントはホットカーラーの巻き方を徹底的に仕込まれます。
そんな奥深いホットカーラーの技術をアシスタント時代、20人のスタイリストの好みに合わせて柔軟に対応してきた僕が解説していきますので、安心してください。
あなたが今後どこへ行っても恥ずかしくない程、完璧にカーラーが巻けるように身につけていきましょう!
ホットカーラー解説
ホットカーラーの技術はヘアセットで必要なベース作りの一つで、一番オーソドックスなものです。
ただ巻けばOKというわけではありません。
テンションの掛け方、根本の立ち上がり、作りたいデザインに合わせて角度やスライスを調整する…といった考え方が大事になってきます。
実際のヘアセットでは、面を出すようなスタイルを作りたい時に使うイメージが多いかと思います。
カーラーでのベース作りは古臭いと思われるかもしれません。
しかし、作り方次第で現代的なスタイルにも応用がききますし、カーラーでしか出せない質感や雰囲気もあるので、幅広い年代の客層に対応したい場合は、習得しておくとスタイルの幅、仕事の幅が広がります。
あなたがスタイルを考えて作品を作る時も、
- アイロンしか使えない
- ホットカーラーとアイロン両方使える
では、どちらが幅広い選択肢や可能性があるのかはわかりますよね?
このページではそんなホットカーラーの巻き方を基本的な事からプロ目線で解説していきます。
ホットカーラーで作れるカールの特徴&効果
まずはホットカーラーがどういったものなのかを簡単に解説していきます。
<特徴>
カールの持ちが良い
アイロンに比べて低温でカールを作るホットカーラーですが、巻いた後にしっかりと時間を置いて冷ます事で、アイロンでつけたカールよりも長持ちしやすいです。
髪の毛は一度温め、冷ます事でクセがつきます。
ホットカーラーは「髪に癖づけする」というサイクルを効率よく行う事ができるのです。
毛先〜中間にかけて一番カールがつく
基本的なホットカーラーの巻き方は、毛先から根元に向かって巻き込んでいくので、カールが一番強く出るのは毛先の部分です。
中間には軽めのウェーブ、根元付近には立ち上がりがつきます。
※髪の毛の長さや量、髪質、使うカーラーの大きさによってカールの効き具合は変わってきます。
カールの質感が柔らかく、方向性が自由に変えやすい
ヘアアイロンは高温でカールをつけていくため、巻き上がりはツヤが出やすく硬い仕上がりになります。
それに比べてホットカーラーは低温でつけていくので、質感がふわっと柔らかい仕上がりに。仕上がりが柔らかいカールは、コーミングや逆毛を使う事で、自由に好きな方向に動かす事ができます。
髪へのダメージが少ない
約60度前後※と低温なため、コテに比べて髪へのダメージは圧倒的に少ないです。
※メーカーによって差有り
<効果>
根本の立ち上がり(ボリュームアップ)
アップステムもしくはオンベースで巻いていくことにより、根元全体を立ち上げ、ボリュームを出していく事が出来ます。
髪が扱いやすくなる(逆毛が立てやすくなる)
髪の引っ掛かりを良くして逆毛を立てやすくする効果と、毛先を納めやすくすることが出来ます。
生えグセの矯正
生えグセに逆らうようにカーラーを巻く事で、生えグセをある程度とる事ができます。
ホットカーラーの巻き方
それでは実際に巻き方をレクチャーしていきますが、その前に簡単な注意点です。
練習し始めてすぐは、軽いやけどになる場合があります。
やりはじめはカーラーを巻くスピードが遅いため、長時間カーラーを握ることになるからです。
(低温とはいっても60度前後ありますので、手早く巻くことが重要になってきます。)
慣れることも必要ですが、無理は禁物です。
厳しいと思ったら、まずは冷えたカーラーで巻く動作の練習をしましょう。
それだけでもきちんとした練習になりますので、安心してください。
手つきが慣れてきたら徐々に温めたカーラーで巻いていきましょう。
それではここから実際の巻き方に入りますので、ぜひページを見ながら実際に手を動かしてみてください。
基本的な巻き方(上巻き)
カーラー巻きの手順を細かく分解すると、以下の工程になります。
- カーラー幅でスライスを取る
- シェープ(梳かす)
- カーラーを当てる
- コームで毛先を入れる
- カーラーを滑らせる〜巻き込む(細かい髪の毛を拾う)
一つ一つの工程にコツがあるので、そこを踏まえ解説していきます。
1.カーラー幅でスライスを取る
スライスの取り方はワインディングと同じです。
基本はカーラー幅なので、使いたいカーラーの大きさに合わせスライスを取っていきます。
※補足
毛量が多い場合は、カーラー幅で巻くと髪の量が多くなり、カールが効きづらくなる事があります。そういった場合はカーラー幅よりもスライスを狭めて巻く事もあります。
スライスを厚めにざっくり巻いても放置時間が長ければカールはつきますが、短時間でカールをつけたい場合などは、スライスを少し薄めに取って巻いた方が癖づけしやすいです。
スライスの取り方を、簡単に解説しています。流れを参考にしてみてください。
1.髪を梳かします
2.カーラー幅に合わせて指とコームを置いて、矢印のように縦のスライスをとります
3.コームを左手の指に向かって移動させて、横のスライスをとります
4.その状態から髪を分けると、カーラー幅のスライスがとれます。
<ポイント>
- 横のスライスをとる時のコームは、寝かし気味にすると頭皮の上を滑らせやすい。
- コームや指は頭の丸みに沿うように動かす。
ここまでは特に難しい事はありません。
ワインディングを練習した経験がある場合は、スライスの幅が違うだけでコームワークは同じです。
2.シェープ(梳かす)
スライスを取ったら次にパネルをシェープしていきます。
梳かし方は動画の方がわかりやすいので、基本は動画で解説していき、ポイント部分は別に補足していきます。
<シェープ時の両手の使い方>
この画像の右手に注目してください。
梳かす時にコームの歯を裏側から入れた状態で、そのまま握り込むようにパネルを持っています。
この状態のまま根元付近から上に滑らせていくことで、髪にテンションをかけつつパネルを梳かす事ができます。
左手はそのまま右手を追うような形で毛先まで滑らせ、毛先付近でしっかりと挟んでパネルを固定します。
動画では表裏合わせて3回ほどシェープしていますが、綺麗にパネルが整う&角度が決まればシェープ回数は少ないほど効率がいいです。
髪が絡まっている状態で行うと引っ張られて痛いので、絡まった場合は一度止めて、絡まった部分から梳かし直して同じ手順で続けます。
※ウィッグ練習ではそこまで気にならないと思いますが、人頭の場合、髪質やダメージによっては絡まりやすい場合もあるので注意しておきましょう!
<シェープした後の持ち手はどちらでもOK>
シェープした後の毛の持ち方は、どちらでもあなたがやりやすい方で大丈夫です。
カットを経験している場合だと画像左の「人差指と中指で持つやり方」がやりやすいと感じるかもしれません。
(ちなみに僕は画像右の持ち方で持っています。)
3.カーラーを当てる〜巻き込み
シェープして毛束を持ちましたら、カーラーを置いて髪を巻き込んでいきます。
ここからは少し難しくなります。
全体の流れは動画で、細かなポイントは画像で解説していきます。
シェープ後、左手に持ち替えた状態です。
この時点でパネルの角度決め、たるみのない状態で髪の毛をしっかり持てている状態を作ります。
カーラーを当てて毛先をコームで入れていきます。
コームを入れる際に、矢印のようにカーラー周りをコームが一周するイメージで入れます。
カーラーを強く握りすぎているとテールがうまく入っていかないので、テールが通る瞬間だけ持ち手を緩めるイメージで行うとスムーズにいきます。
ここが甘いと中で毛が折れた状態になりやすいので、しっかりとコームを入れていきましょう!
毛先によりツヤを出したい場合はコームを入れた後、矢印の方向に一度滑らせていきます。
カーラーの細かな溝で毛先が綺麗に整います。
基本はオンベースにカーラーが収まればOK。
オンベースは画像のように、下のスライス線と同じくらいのラインにカーラーが収まるのを目安にしてみてくださいね。
パネルを引き出した時に、頭皮に対して90度だと思った位置よりも少し前に倒すとちょうどいいです。
基本的な巻き方(下巻き)
次に、頭の中間〜ネープ付近を巻く時に使う「下巻き」のやり方です。
「上巻き」のみでは頭の下側を巻く時に不自然な体勢になってしまって巻きにくいので、合わせて練習する必要があります。
だいたいゴールデンポイントの少し下あたりを目安に、下巻きに変えましょう。
(この位置は「上巻き」「下巻き」どちらでも巻けるため、あなたのやりやすい方でOK)
この位置よりも下は完全に「下巻き」の方が巻きやすくなります。
巻き方や注意点は上巻きの場合と同じですが、手の使い方が少し異なります。
毛束を自分の方に引き込むように持ちます。
上巻きの時は親指で毛先を支えていますが、下巻きの場合は持ち手が逆になります。
したがって画像のように、中指と薬指付近を使って毛先を支えます。
下から毛先を、コームのテールを使って入れ込みます。
テールの通し方が甘いと毛先折れの原因になりやすいので、1周しっかりといれていきます。
テールを通す時の注意点は上巻きと同じです。
毛先を滑らせる場合はテールを入れた後、少し手前に引くように滑らせる事で毛先にツヤが出ます。
落ちてくる後れ毛の拾い方
レイヤーが入っている髪は、巻くときに短い毛がポロポロと落ちてきます・・・。
ウィッグで練習した後、人頭でカーラーを巻いてみたら、思ったよりうまく巻けずにとまどうポイントでもあります。
巻くのにある程度慣れてきたら、意識して細かい毛を拾いながら巻いてみてください。
ここさえきっちりと出来るようになれば、どんな髪質や長さでも安定してカーラーが巻けるようになります。
一応画像でも用意したのですが、動画でも同じ事をやっているのでぜひ見てみてください。
途中まで巻き込んだ状態で短く落ちる毛を見つけたら、落ちている側から毛をすくいます。
落ちてきた髪を人差し指で軽く支えて、毛先を入れた時の容量でテールを通してカーラーの中へしまいこみます。
画像とは反対に左から落ちてくる場合、一度カーラーの持ち手を右に変えて左手で毛を拾ってください。持ち手を戻してテールを入れれば同じことができます。
その他の巻き方:逆巻き
「逆巻き」は下から上に巻き上げるように巻いていくやり方です。
和髪や襟足をふっくら上げた形を作るときにネープの髪の毛をまとめやすくするために使います。
その他の巻き方:中間巻き
基本的な巻き方とは別に「中間巻き」(人によって言い方違うかも)という巻き方があります。
覚えるととても便利な巻き方ではあるのですが、最初にこの巻き方を覚えてほしくないという思いもあり、あえてここでは巻き方のくわしい解説はしません。
中間巻きというのはその名の通り、中間からカーラーを当てて、グルグル毛先を巻きつけて巻いていく方法です。
メリットは、
- 長い髪の毛でも根元に熱を当てやすく、立ち上がりをつけやすい
- 短い髪と混ぜて巻きたい時にも使える
など。
例えば毛先とレイヤー部分で極端に長さに差がある方は、毛先に合わせて毛束を持つと、レイヤー部分の短い毛がパラパラ落ちてきてしまいます。
そんなとき、レイヤー部分の短い毛に合わせて毛束を持って中間から巻いていく事で、髪を拾う動作が短縮できて早く巻くことができます。
しかしデメリットもあり、
- 毛先が折れやすくなる
- 毛先巻きに比べて滑らせる動作が出来なくなるので、ツヤが出にくい
- ウェーブの出かたが歪む
などなど、デメリットも大きい巻き方です。
とても便利ではあるのですが、基本的な毛先巻きが出来るようになってからこちらを覚えることをオススメします。
カーラー巻きの注意点と補足
毛先折れには特に注意!
カーラーを巻く際に、毛先がきちんと巻き込めていない状態でカールが付いてしまうと、毛先が折れてしまいます。
この状態のまま冷えてカールがつくと・・・
画像左のような、毛先がカクッと折れた状態でカールがついてしまいます。
画像右の綺麗に巻き込んだ状態と比べて、パサつきも目立ちますよね・・・。
余談ですが、アシスタントがこんな状態で巻いているのをスタイリストに見られたら、100%注意されます。
そのくらい大きなミスなので、気をつけて巻いていきましょう!
毛先がよく折れてしまうのは、巻き込みの際のコームを入れ方が中途半端だったり、中間巻きをしたときです。
毛先をしまうスタイルのときは折れていても影響はありませんが、毛先をデザインに組み込む場合は、折れてしまうと仕上がりに影響がでます。
日頃から毛先は折れないように意識して練習しましょう!
テンションのかけ具合
人によってテンションをかけた時にどう感じるかは個人差があるので、同じ力で引っ張っても痛いと感じる方もいます。
力任せにピンッと無理に張らすようなことはせず、パネルがたゆまない程度に持てていればOKです。
<テンションの重要性>
巻く際のテンションの掛け具合で、どれだけカールに差が出るかを見ていきます。
ウィッグではわかりづらいので、ここでは人頭で解説をしていきます。
カーラーは左右とも同じサイズを使用。
左のカーラーは、テンションをしっかり掛けながら巻いた状態。
右はテンションをあまり掛けず、ゆるめに巻いた状態です。
目視の状態ではあまり差はないように見えますが、外してみるとカールの効き具合が変わってきます
今回の放置時間は1〜2分程です。
カーラーを外した状態がこちら。
左→しっかりテンションを掛けながら巻いた状態のカール。
右→テンションを掛けずゆるく巻いた状態のカール。
外してみると左の方がカールがだれず、しっかりと巻きがついているのがわかりますね。
この状態から手ぐしを入れてほぐした状態がこちらになります。
ほぐした状態を見ても、カールの強さは左右でかなり差が出ています。
右のような緩めのカールは、ダウンスタイルの場合はナチュラルでちょうどいいのかもしれませんが、アップにする事を考えると望ましくありません。
なぜなら、作っている最中にどんどんカールがとれてしまうからです。
そしてこの「テンションを掛ける」という大事なポイントが、カーラー巻きで出来ていない場合がとても多いのです。
一見すると巻けているように見えるんですが、カールを触ればすぐにわかります。
カーラー練習において、テンションを掛けながら巻く事がもちろん難しいので、当面はしっかりとテンションを掛けながらきっちり巻く練習をおススメします。
カーラー巻きに慣れてきたら、カーラーのサイズ、スライスの量、テンションの強さを微調整していく事である程度カールの強さをコントールしていくことも出来るようになります。
おわりに
ここでは基本的な巻き方を中心に紹介していきました。
いろいろと解説していきましたが特に大事なポイントは、
- テンションをきっちりかける事
- 毛先が折れないように注意する事
です。
常に意識しておく事で、早巻きしてもきっちり巻けている状態が作れるようになります。
カールがしっかり効いている状態さえ作ってしまえば、ピンで簡単に止めていくだけでもスタイルが決まり、指やコームで動きを作るときのやりやすさが違います。
身につけるのは簡単ではないですが、身につけた技術は一生あなたのものです。
僕が今までセットをしてきて実感してる事があるんですが、練習は絶対に裏切りません。
イメージ通りにうまくいかなくて苦しい状態が続いても、ある日いきなりうまくなります。
それが結構快感だったりします(笑)
特に最初の基礎段階というのは一番辛くてきつい時期です。
でも、ここを乗り超えたらヘアセットがさらに楽しくなります!保証しますね。
本気でセットを学ぼうとしているあなたには、技術だけじゃなくそういった瞬間も感じてほしいです!
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